MSE Research and Promotion Center(MSE Center)について


挨拶

  省資源、省エネルギー、ダウンサイジングをキーワードとしたもの作りのイノベーションにとって、新しい材料開発と特性評価技術は車の両輪の関係にあることは衆目の一致するところです。そして、こうした取組には、異分野融合や広域連携により各種の試験・計測技術を高度化させることが必要不可欠です。
  私は、マイクロスラリージェット(微小粒子を含む水噴流の高速投射)によるエロージョンを用いた新しい材料表面特性評価法(Micro Slurry-Jet Erosion, Method,MSE®法)を、その評価原理の発明から進化させてきました。
  本センターは、MSE法を、これまで薄すぎ、硬すぎあるいは軟(柔)らかすぎて評価できなかったあらゆる薄膜や材料表面の強度や変質・劣化などに対して、表面から内部までシームレスにナノスケールで評価できる手法として確立し、社会に発信することを目的としています。
本研究・推進センターでは、
  (1)  MSE評価装置の高度化と標準試験法の確立
  (2)  種々の薄膜・材料についてナノレベルでの特性・強度とMSE速度(エロージョン率)との関係の解明とデータベース化
  (3)  微小粒子衝突によるエロージョン(表面破壊と脱落)のメカニズムの解明
  (4)  以上を総括して、国際標準化(規格化)も視野に入れ世界オンリーワンの評価法として世界に発信

 以上、4つの目的を実現することにより、日本ひいては世界のもの作りを画期的に変えることを目指しています。現在、原子・分子レベルで制御されるもの作りの研究が、先端的なものづくりを実用化に導いています。一方で、このような先進的なもの作りに、従来の汎用的な機械特性評価試験が対応できなくなっている現状もあります。ナノサイズの動的機械特性試験による材料評価に道を拓く手法がMSE法であり、次世代のナノサイズのもの作りに必要不可欠とされる材料に内在する特性や特徴を見える化できると考えています。
  MSE法に現在関わっておられる皆様方および関心をお持ちの方々との連携を通して、MSE法の学術上、また工業上の価値と意義のさらなる進展に努め、社会に貢献したいと考えています。皆様からの本センターへのアクセスをお待ちしています。

沿革

1997.6
第5回日本海トライボロジー研究会にて、岩井(福井大学)と松原(当時、マコー(株))が出会う。
松原はウェットブラストに関する特別講演を行う。
1997
岩井がマコー(株)を訪問し、ウェットブラストのメカニズムについて議論を行う。
岩井は簡易耐摩耗試験装置を見かけ、当時行っていたスラリーエロージョンの研究に使えると考え、松原に装置提供を要請し、借り受ける。
1998.4
岩井研究室ではこの装置を用いて硬質薄膜などのトライボロジー特性評価法の開発のために、マイクロスラリージェットエロージョン(MSE)の研究を開始する。
2000.3
岩井は文部省在外研究員としてウプサラ大学(スウェーデン)のホグマーク教授研究室に4ヶ月間滞在し、硬質薄膜の評価に関する共同研究を開始する。
2001.4
第17回 Wear of Materials の国際会議(バンクーバー)にて、MSEの原理と評価の可能性に関する研究発表を行う。
2002.10
“皮膜試験評価法”が特許登録される。(特許第3356415号)
2006.1
“MSE” が商標登録される。(登録番号:4920728)
2009.2
精密科学技術ネットワーク主催 岩木トライボコーティングネットワークアワード 特別賞を受賞する。
「マイクロスラリージェットエロージョン(MSE)による硬質薄膜の表面強度・トライボロジー特性の評価試験法の開発」 岩井、本田、宮島、松原
2010.5
“皮膜評価試験機” が特許登録される。(特許第4510612号)
2012.4
りそな中小企業振興財団・日刊工業新聞社主催 第24回「中小企業優秀新技術・新製品賞」優秀賞を(株)パルメソが受賞し、同時に産学官連携特別賞を岩井が受賞する。
2012.5
2011年度日本トライボロジー学会技術賞を受賞する。
「MSE(マイクロスラリージェットエロージョン)評価技術」 岩井、松原、大塚、勝俣、宮島
2015.5
MSE研究・推進センターを福井大学産学官連携本部オープンR&Dファシリティに開設する。
2016.3
日本機械学会北陸信越支部賞のうち技術賞を受賞する。
「材料表面を対象とした機械的特性試験の新手法「MSE試験評価法」の開発とその実用化」 岩井、松原、勝俣、高澤、宮島
2016.11
発明協会主催 平成28年度関東地方発明表彰にて発明奨励賞を受賞する。
「パルス方式MSE材料表面強度試験(特許第4510612号)」 岩井、松原
2017.5
日本トライボロジー学会主催 2016年度日本トライボロジー学会にて功績賞を受賞する。

組織



設立趣旨

  福井大学における長年のトライボロジーの研究および機械材料のエロージョンの研究とウェットブラスト技術の融合により、材料表面強度や表面劣化の評価法としてマイクロスラリージェットエロージョン(MSE®)法が開発されました。
  MSE法は、材料表面の強度や特性を従来とは異なる原理で評価する世界オンリーワンの試験評価法です。エロージョンを利用して材料をマイクロ・ナノスケールで除去できれば、表面に三次元微細構造、また不均一組成や複合材料成分の選択的構造などが加工でき、新しい機能を付与することが可能になります。
  このような可能性を有するMSE技術により、マイクロ・ナノスケールのエロージョンの新たな学術研究領域を開拓するとともに、日本発のデファクトスタンダードの評価試験法および表面微細加工基盤技術を開発し、社会の発展に貢献することを目指します。MSE技術に関わる研究の質と量の一層の進展およびそれらの成果の集積と国内外への発信・普及を目的として、MSE研究・推進センターの設立に至りました。
センターのミッションは、以下の通りです。
   (1) MSE法に関わる研究者・技術者のネットワークを構築し、そのオーガナイザーの役割を果たします。MSE法の学術上また工業上の価値と意義、そして認知度の向上に努めます。
   (2) MSE法に関する情報を集積し、公開します。
   (3) MSEに関する研究会等を企画、実施します。
   (4) MSE法に関する研究・技術相談の窓口の役割を担います。必要に応じて実験設備を開放します(ただし、状況に応じて研究費をお願いすることをご了解下さい)。